Netflix中国映画『この夏の先には』の感想┃DJ志望のイケメン同級生×家庭不和に悩む優等生少女の青春映画【盛夏未来】

映画
@weibo 电影盛夏未来

こんにちは!実家ぐらしのれこぽんです。

先日、2021年に公開された中国映画『この夏の先には』をNetflixで鑑賞しました。

残念ながら私の好きな部類には入りませんが、映像と音楽が美しく良質な映画でしたので

作品情報・あらすじ・感想の3つから語ってみます。

※ネタバレを含みます

作品情報

  • 原題:盛夏未来
  • 監督:レスト・チェン
  • キャスト:张子枫(チャン・ツィフォン)呉磊(ウー・レイ)
  • 公開日:2021年7月30日
  • 長さ:1時間54分
  • 受賞歴:第13回マカオ国際映画賞「最優秀賞」ノミネート

あらすじ

主人公のチェン・チェン(张子枫)は、大好きだった両親の不仲を知り、ショックで大学入試に失敗してしまいます。留年を余儀なくされた彼女は、母親に受験に失敗したことを問い詰められると、咄嗟に「失恋したから」という言い訳します。相手は、全く交流のなかったイケメン同級生のユーシン(呉磊)に振られたという嘘までついてしまいます。

しかし、チェンが留年したクラスには、奇しくも濡れ衣を着せたユーシンの姿がありました。チェンのついた嘘がユーシンにバレてしまい、更に学校と両親を巻き込む思わぬ事態へと発展。事を収束するために「偽りのカップル」として振る舞うことになります。

嘘をきっかけに接触するようになった二人は、秘密を共有するようになり、次第にお互いの距離を縮めていきます。それぞれが抱える問題や、自分の本当の気持ちに向き合うことで、二人はどう成長していくか…ひと夏の青春ストーリーです。

感想

結論から言うと、良い映画でした。でも、特別好きにはなれなかったです。

特に序盤はかなり退屈。冴えない主人公×学校で一番目立っているキャラクターの勘違いからはじまる恋愛という、よくある王道展開に「あーはいはい」という感じで、最初の30分くらいは集中力が保てず、スマホを観たり、部屋の掃除をしたりしながら観てました。

しかし中盤(だいぶ後半より)になってようやく、ユーシンの元恋人が不自然なほど隠されて描写されているのに気がつき、興味が湧いてきます。映画全体に漂う雰囲気から、完全なハッピーエンドではないだろうなとは予測していましたが、こういう展開(恋した相手のセクシャリティの不一致)になるとは思っていませんでした。

え~😨一緒に歌ったり、片耳ずつ音楽聴いたりして、二人、良い感じだったじゃん…。

「偽りのカップル」を演じているとはいえ、ユーシンはチェンの気持ちに気付いてたはずなのに、なんでそんな思わせぶりなことするのよ!あれ、ちょっとまって、そういえばユーシンも元恋人のことを『告白はしてないけど、俺に気がある態度で恋人みたいだった』と言っていたわよね。

おそらくですが、ユーシンがチェンに対してしたことを、ユーシンの恋人もユーシンに対してしたのではないでしょうか。つまり、自分を好きになってくれた相手を、好きになろうと努力した…。ユーシンはチェンという自分を好いてくれる存在に出会ったことで、元恋人が自分に抱いていた葛藤を真の意味で理解し、諦めることができたんだろうな。

序盤のベタさに冷めながらも我慢して見てたのに、なんかこっちまで振られたような気分に… これがもしかして、作品テーマの『自分が好きな人が、自分を好きではない』っていう気持ち?お互い惹かれ合っている(と思われる)シーンが多かっただけに、実はそうじゃなかったんだ…という視聴者への裏切りが、個人的に良かった点です。

現代において、同性愛者だからってそこまで悲嘆する?

ユーシンの『この先、好きな人と両思いになれたらどんなにいいか』というセリフには、この先の恋も困難であることが窺えるので、やはり可能性として、ユーシンは同性愛者なのかな。でも、ユーシンがそうだったとして、この現代においてそこまで悲嘆すること?という疑問が率直に浮かびました。それは私が当事者ではないから認識が甘いだけかもしれないけれど、昔の時代と比較すれば、LGBTQ(それ以外も)への理解は深まってきてはいるはず。それとも国で認識差があるのだろうか?

ちょうどこの映画が公開された2021年、中国の習近平指導部は、「不良文化」として、中性的な男性やBL作品等をはっきり否定しました。

ふ、不良文化って…。😰なんか、いかにも時代遅れのおじさんが必死に抵抗している感が。

でも日本の同性婚に対する議論の中でも「隣に同性愛カップルが住んでいたら…kmい」とか何とか言ってた政治家たちが確かいましたよね。ある一定のおじさん世代に(世代関係ないかもだけど)強烈な拒否反応を示す人たちはいるのよね、どこの国にも。

ただ、中国の政府トップが言うのと日本の政治家が言うのとでは、事の重さが違います。日本ではBLや同性愛的描写を規制するなんてことは特別ありませんが、中国はそういった描写を政府が規制・検閲しています。世界の中で日本の性的マイノリティへの理解の低さは知っていましたが、どうやら中国は日本以上のよう。国の中枢でそういう方向へ向かうのは、やはり恐ろしいですね。そのような国の認識の違いを知ると、ユーシンの悲嘆っぷりも誇張とかではなく、あながちリアルなのか…

この先の未来に対して、希望を見出すことが出来ないくらいの息苦しさが、未だに同性愛者・性的マイノリティの方にはあるのだな、ということをこの映画で学びました。

似ている作品は『ウォールフラワー』

私の少ない映画の引き出しから、似ていると思ったのは『ウォールフラワー』かしら。

青春映画と言えば…としてあげられる名作の1つで、『この夏の先には』と同じように学園を舞台とした作品です。いじめ、ドラッグ、恋愛、過去のトラウマなど、10代の若者が抱く悩みや不安をどう乗り越え成長していくのかが描かれています。

この作品には個人的な思い出があって、留学先のホストシスターとその友達と一緒に映画館で観ました。友達がいない私を心配して気遣ってくれてた人の優しさを同時に思い出せるからかな。この映画はなんだか特別に好きです。当時の私は英語が聞き取れなくて、全く内容を理解出来なかったけれど、

『これ、絶対良い映画な気がする。ちゃんと理解して観なきゃダメなやつだ…』

と思ったのを強く覚えています。日本に帰国してからきっちり字幕で観ました。

やっぱりサム役のエマワトソンが、夜の道路を駆け抜けるシーンがいいよね。

『フォールフラワー』は好きなのに『この夏の先には』は特に好きになれないのはなぜか…

考えれば理由はいくらでもあげられるけど、大した意味はない気がする。

もしかしたら『この夏の先には』も、Netflixじゃなく映画館で誰かと一緒に観てたら…好きになってたかもしれない。好き・嫌いってそれぐらいのことで変わるから、あまり当てになりませんね。

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